極上のくつろぎ着で炎を見つめる静寂のひととき

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極上のくつろぎ着で炎を見つめる静寂のひととき

2017/02/02

キャンドルや暖炉の炎を見ているとなんとなく落ち着く。
そんな感覚は誰もが経験したことがあるはずです。
煌々とした明るい照明に照らされているときより、やさしい炎を眺めているときの方がリラックスできるのはどうして? 
その疑問に対するひとつの答えが導き出されました。

暮らしのなかで楽しめるキャンドルの炎でリラックス

暮らしのなかで楽しめるキャンドルの炎でリラックス

遥か遠い昔から人間の営みに欠かすことのできない火。かつて日本人の生活は囲炉裏やかまどを中心に営まれていました。火を使うことによって、暗闇でのあかりや冬の間のぬくもりを手に入れ、獣から身を守ったり、火を通す調理方法を身につけました。家族の中心に囲炉裏があり、火を囲む家族の団らんがありました。暖炉やたき火もまたしかり。燃える炎を囲むと、体ばかりか心も温かくなるのです。
さて、陰影礼讃という日本人のDNAに刻み込まれた特有の美意識が薄れつつある昨今。節電を呼びかける「キャンドルナイト」などが定着する一方で、体と心を穏やかに保つためのひとつの方法として、ほの暗いキャンドルを取り入れた暮らしが注目されています。ゆらゆらと揺れる炎がなぜ体と心を落ち着かせるのか?長年リラクセーションについて研究してきた三谷惠一博士は、実験心理学的見地からキャンドルの炎がストレスをやわらげる効果があるかもしれないという仮説に基づき、キャンドルメーカーとの共同研究を進めてきました。人が体と脳の相互作用によってリラックスするという点に着目した三谷博士は、筋電位と脳波を測定・分析するシステムを考案。独自のアンケートによって主観的障害単位であるイライラ度(28項目SUDs)などをまとめた結果、キャンドルを灯した環境に身を置くとストレスを緩和する効果があることを実証しました。(図1・図2)
さらに言うと、同じ炎を見ることは視線の方向を一点に一致させる一種のコミュニケーションにもなります。キャンドルや暖炉の炎を見ながら話をすると会話が弾むというデータもあるほどです。北欧では長く暗い冬を快適に過ごすためにキャンドルを灯すのは当たり前。インテリアの一部としてはもちろん、人の体と心をリラックスさせる理にかなったライフスタイルだということがあきらかです。このような生活の知恵が家族や友人との絆を深めているのかもしれません。

体の緊張度は積分筋電位、心の緊張度は積分脳波(α波+θ波)でとらえることができます。
平均身・心の緊張度
筋電位と脳波の和の平均で体と心のストレス度を計算した結果。キャンドル点灯前は右前額部(Fp2)が左前額部(Fp1)より高くなっています。これは右脳がつかさどる全体的判断や人間関係が原因で起こる、体と心の強いストレスを表しています。その後、照明を消してキャンドルを灯すとFp2、Fp1ともに下がり、次第に体と心の緊張度がなくなり、リラックスしていくことがわかります。

平均イライラ度
食事の際に明るい室内照明で会食をした場合と、室内照明の照度を30%まで落としてキャンドルを灯した室内で会食した場合を比較した結果。卓上のキャンドルは、大テーブルに対して三角形になるように並べて実験。女性10名に対してそれぞれの会食後、イライラ度を調査するために三谷式(SUDs)による独自のアンケートを行いました。キャンドルを灯すことで会話が弾み、親密な感じが増したと感じる人が増え、リラックスして会食できたという結果になりました。
(ともにペガサスキャンドルとの共同研究結果)



三谷 惠一(みたに けいいち)
岡山大学名誉教授、元IPU・環太平洋大学教授、京都大学文学博士。実験心理学の見地からリラクセーションの意義を考える論文多数。著書に『医療と看護の心理学』(ナカニシヤ出版)、『リラクセーションのすすめ――その理論と実際』(大学教育出版)、『脳と知覚学習――環境心理学の再出発』(ブレーン出版)ほか。

※掲載内容は『TOUCHが考えるちょっと知的なバスタイム』発行当時(2011年)のまま掲載しております。



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